「今日は彼女は?」


成哉は一瞬ためらう様子を見せたが、すぐに気を取り直したようで私をまっすぐ見て答えた。


「今日はもう帰った」


「そう。
可愛い人だったね」


素直な気持ちでそう言えた自分に、ほっとした。


すると、摩耶さんも話に加わってきた。


「年下?」


「うん、大学三年。
3月の春期講習から講師で入ってきたんだ」


私はいたずらっぽく笑いながら成哉の顔を覗き込んだ。


「早速手を出したんだ、競争率高そうだものね、彼女」


しかし、成哉は薄く微笑むだけで反論してこない。


その様子を見て摩耶さんが問いかけた。