大人の女と男の関係

成哉の方も、私に気付いた。


私の前にタバコの煙が昇っているのを見て、右の眉を上げた。


少々気まずいけど、しかたない。


私は灰皿からタバコを取り上げ、なんでもないことのように吸ってみせた。


成哉は摩耶さんにビールを頼み、私の隣に座った。


「久しぶり」


私は煙を細く吐き出し、同じように答えた。


「久しぶり」


成哉は、カウンターの上に置いてある私のタバコとライターを見た。


「タバコ、始めたの？」


私は成哉の横顔に答えた。


「以前は吸ってたの。
今日めちゃくちゃ頭に来ることがあって、タバコでも吸わなきゃやってられなくて再開しちゃった」


タバコを吸わない人の中には少しの煙でも嫌う人もいる。


成哉と話すのは久しぶりだったし、さらに話題が成哉の吸わないタバコのことだったので、私は内心びくびくだった。