私は自分の感情を持て余した。
成哉を恋愛対象外、として、アプローチさせないように仕向けていたのは私の方だ。
あくまでも私達は、飲み友達。
そういう関係を望んだのは自分のくせに。
私は成哉と彼女が一緒のところに居合わせるのが嫌で、それ以降、「マーヤ」を避けた。
成哉に連絡をするのも止めた。
成哉からも連絡は来なくなっていた。
そうして、ひと月半。
6月に入ったある日の夕方。
4時――
あーあ、あと1時間か。
今日の夕飯、何にしよう?
仕事中にも関わらず、そんなことを考えるくらい暇な日だった。
「相原さん、ちょっと」
係長に呼ばれ、私は席を立った。


