大人の女と男の関係

「福本由宇(ﾌｸﾓﾄﾕｳ)です」


彼女も名乗った。


「野田さんに福本さんみたいな可愛いらしい彼女さんがいらっしゃったなんて存じませんでした」


摩耶さんがそう言うと、彼女ははにかんで謙遜した。


「え、そんな、可愛いらしいだなんて、そんなことないです」


でも、彼女、であることは否定しなかった。


「どうぞごゆっくり」


摩耶さんは注文を確認すると、二人の前から移動した。




二人の注文を奥に伝えて戻ってきたとき、私は手を挙げて摩耶さんを呼び、会計してもらった。


席を立ち、店を出る直前、ちらっと成哉を見た。


成哉は彼女と何か話していたが、一瞬目が合った。


私が軽く会釈すると、成哉も頷き返した。


それだけ見て、私は店を出た。


お似合いの二人だった。


なんだか胸が苦しかった。