出社すると、先に来ていた千佳ちゃんが私に駆け寄ってきた。


昨日のことを聞かれるんだろうな。


そう予想していた私の考えは見事に裏切られた。


「香菜さん、大変です!
課長が倒れたそうなんです。
出社したらすぐ部長のところへ顔を出すようにって」


私は慌てて部長室に向かった。


「失礼します」


部長室のドアは開け放たれていた。


受話器を握っていた部長はすぐにそれを置き、私を手招きした。


「聞いたか?」


「はい、課長、倒れたそうで」


私が言うと部長は頷いた。


「今は個人情報が厳しくてな、詳しい病状は言えないんだが、循環器系の病気で昨夜急遽入院したらしい。
退院の目処はまだ立っていないそうなんだ。
そこで、当面総務課は相原に頼みたいんだが、いいか?」