すると、成哉は私の腰に手を回し、体を引き寄せてきた。


「俺がうまそうって言ったのはこっち」


私は成哉の目を見つめ、かろうじてかすれた声をあげた。


「成哉、なに言って……」


「もう独身だし。
香菜さんだって、俺の気持ち、もうとっくにわかってるでしょ?
わかってて部屋に入れてくれたんだよね?」


徐々に顔を近づけながら、成哉はそう囁いた。


「え、あの、それは……」


しどろもどろになって顔をのけぞらせるけれど、成哉の腕はがっちり私を捉えて離さない。


どうやら今度は冗談じゃないみたい。


私は成哉の目から視線をはずせなかった。


「もう、逃がさない」


最後にそう囁いて、成哉は私に口付けた。