すると成哉はくすっと笑った。


「冗談。
少し休ませてもらえば1本くらいは平気だと思う。
香菜さんも飲むでしょ?」


そう言うと、まだ動けずにいる私の手から2本の缶チューハイを取り、リビングへ戻っていった。


…………


びっくりした……


一瞬、本気かと思った。


ドキドキと激しい動悸を押さえるように握り締めた両手を胸に押し付けた。


少し鼓動が落ち着いてくると、無性に悔しくなってきた。


まったく!


からかうのもいい加減にして欲しい。


こっちの気も知らないで。


別に、私は成哉なんか意識してないんだから!


もう、だまされないんだから!!


い、今のだって、本当は冗談だってわかってたんだから!


いつもどおり、いつもどおり!


私は気持ちを切り替えて、盛り付けた皿をリビングに運んだ。