私は、記憶をなくす前までのことと、週末成哉が由宇さんのところへ行ったこと、今日連絡がくるはず、ということを話した。


千佳ちゃんは目を輝かせた。


「おおおーっ!
とうとうそこまで来ましたか!
まだ連絡来てないんですか?」


千佳ちゃんに促され、私はケータイをバッグから取り出して見た。


「まだ、ない」


変化のない待ち受けを確認し、ケータイをテーブルに置いた。


「いっそ、香菜さんから連絡してみたら?」


千佳ちゃんに勧められたけれど、私はためらった。


「え、でも……」


と、そのとき。


♪♪♪♪♪♪♪


「香菜さん、早く出て!」


千佳ちゃんにせかされ、私は成哉からの電話に出た。