大人の女と男の関係

「……香菜さんは、不倫とか、嫌いだもんな。
潔癖だから」


「はあ?」


突然そんなことを言われ、拍子抜けしてしまった。


「私のことなんてどうでもいいよ。
由宇さんは成哉の妻でしょ。
由宇さんも、お母さんも、どういうつもりよ。
成哉が何時間もかけて通ってるの知ってんでしょ?
それなのに、よりによって成哉が行く日にそんな男を家に上げて、ましてやビール飲ませるなんて!」


ムカムカムカムカ……


他人事ながら、常識のなさにイライラした。


「香菜さん、少し落ち着いて。
でも、サンキュ。
俺のために怒ってくれて」


成哉はこんなときでも穏やかだ。


「もう!なんで成哉はそんなに優しいの?
もっと怒るべきだよ。
そんなんじゃ、付け入られちゃうよ」


私がそう言うと、成哉は苦笑した。


「いや、そんなことはないよ。
俺、聖人君子じゃないし。
香菜さんも知ってるでしょ。
俺が、不倫経験者だって」