「ほら、誕生日にあげたＤＶＤ、すごく喜んでくれたからさ」


私はチケットから成哉の顔に視線を移した。


「ありがとう！
嬉しい！
でも、よく取れたね」


私が感激してそう言うと、成哉は少し照れくさそうに笑った。


「ちょっとコネをフル活用した」


成哉の勤め先は大手出版社だから、芸能分野に強い部署もあるのかもしれない。


でも、人気の劇団のチケットは競争率が高いはず。


苦労して手に入れてくれたんだろうことが想像に難くないだけに嬉しかった。


「本当にありがとう！
舞台見に行くのなんて、もう何年ぶりかなあ。
これ、成哉も一緒に行けるんでしょ？」


そう聞くと、成哉は頷いた。


「じゃあ、また近くなったら連絡するね」


そう言って私はチケットをバッグにしまった。