その様子を後ろから女の子が見ていた。


成哉、気付いてる。


気付いてて、わざとやってるんだ。


あの子を遠ざけるために。



女の子はムッとした表情を見せてこちらに背を向けた。


あ……


いや、違うんだけどね。


私は成哉のパートナーでもなんでもないんだけどね。


私は女の子に対して申し訳ないような思いと同時に、優越感も感じていた。


私って、こんな意地が悪かったっけ……


でも、成哉も相当なもんだと思うけどね……



自分の胸に渦巻く思いと、今更ながらさっき耳に感じた成哉の吐息とに鼓動を速めながら、私は成哉の方を見ないように電車に揺られていた。