「な、なに言ってんのよ。
成哉はもう結婚してるわ」


そう、彼はすでに既婚者だ。


「え?そうなんですか?」


「そうよ。
去年、結婚しましたってハガキもらったもの」


いや、正確には結婚式に招待もされていたのだ。


断ったけど。


「えー、そっか、じゃあまだ新婚さんなんだ、残念」


「なーにが残念なんだか」、そう笑ったけれど、私の動揺を千佳ちゃんは見逃さなかった。


「あれ?香菜さん、ピッチ速くないですか?
あ、さては、成哉君となんかあったんでしょ?
話してくださいよお!」


腕をつかんでゆすられ、私は慌ててジョッキをテーブルに置いた。


「ちょっ、こぼれるよ!
わかったわかった、話すから!」


「エヘヘ、で、なにがあったんです?」


「いや、なんにもないのよ、ホントに」


私は成哉とのその後の関係を話し始めた。