「――成哉!?」


背後から私の前に回ってきた成哉はニヤリと笑いながら、小ぶりの花束を差し出した。


「誕生日、おめでとう」


私は、成哉と千佳ちゃんの顔を見比べ、声を上ずらせた。


「な、なんで?
なんで成哉が?
千佳ちゃん?」


千佳ちゃんはへへへ……と笑いながら成哉に椅子を勧めた。


「前に摩耶さんのとこで会った時に名刺頂いてたんですよ。
で、今日ここで香菜さんの誕生祝いしますから来ませんかって誘ったんです」


やられた……


千佳ちゃんはこういう子だった。


私はばつの悪い思いを抱えながら、成哉から花束を受け取った。


「ありがとう……」


そう言った私の顔は大いに引きつっていたに違いない。


もう、千佳ちゃん、どうすんのよ!


成哉におかしなこと聞かれちゃったじゃない!


私はどんな顔をしていいものかわからず、成哉を直視できなかった。