「うん。
千佳ちゃんにも学生時代に親友っていたでしょ?
そういう友達のことってさ、ふだんは忘れててたまに元気かな?って思い出すくらいだけど、久しぶりに電話したり会ったりすると、昔と同じように楽しかったりしない?
長く会ってなくても、会えばすぐに昔の関係に戻って居心地がよくて。
私が成哉に感じるのは、そういうのに近いんだ」


あのとき感じた居心地の良さを思い出してそう言った。


すると、千佳ちゃんは少し声をひそめて聞いてきた。


「じゃあ、香菜さんは成哉さんに抱かれたいとは思わないんですか?」


抱かれたいか……って……


私は成哉にされたキスを思い出した。


あのあと、彼に抱かれることを想像しなかったかといえば嘘になる。


でも、さすがにそれを言うのは恥ずかしくて、


「えー、思わないよ」


私はややオーバーアクションで手を振り、笑い飛ばした。


すると、



「俺ってよっぽど男として魅力ないんだなぁ」



頭上から声が降ってきて、ぎくりとした。