大人の女と男の関係

「彼に、お互いの両親を集めて話し合おうって提案したの。
お互いの実家にいくらかずつ出してもらえないか頼もうって。
彼も了承してくれて、向こうのご両親の都合のいい日を聞いてくれて。
ある土曜の午後に、私は私の両親を連れて、彼は休日出勤を途中で抜けて、向こうのご実家に集まることになったの」


千佳ちゃんは真剣な表情で聞いてくれていた。


「両親と待ち合わせて、彼のご実家に行ったのが約束の１時。
向こうのご両親がそろって出迎えてくれたわ。
ところが、待てど暮らせど、彼が来ないのよ」


「え？」


「ケータイに電話しても電源が入っていないか電波が届かないってアナウンスが流れるばかりで。
３０分して、痺れを切らした向こうのお父様が、先に用件を聞きましょうって言い出したの。
私はてっきり彼がある程度話してあると思ってたんだけど、彼、借金のこと、ご両親に何も言ってなかったみたいで」


「え、そうなんですか？
じゃあ、島村さんのご両親はその日なんでみんなが集まったか知らなかったんですか？」


「そうなの」


「えー？
自分の借金のことなんだから、自分で先に話しておいて欲しいですよね？」


まったくもってそのとおり。


千佳ちゃんのセリフはあの日の私の思いとまったく同じだった。