成哉は、何か言いたげな表情で、でも何も言わずに私の顔を見てから、二人の重なった手に視線を落とした。


なに?


なんだか、急に空気がはりつめた気がして、私は息を殺して成哉を見守っていた。


すると成哉は、そっと私の手を自分の腕からはずした。


そして、何もなかったように、店員を呼び、チューハイのおかわりを頼んだ。



止めていた息をそっと吐き出しながら、私は喪失感に襲われていた。


なんで?


なんで黙って私の手をはずしたの?


成哉に拒否された気がした。


どうして?


成哉?


でも、聞けなかった。


聞いてはいけない気がした。