「あれからさ」
先に口を開いたのは成哉だった。
「うん?」
「由宇の実家に行って、お父さんとも話したんだ」
「うん」
私がそうするように勧めたんだっけ。
「由宇の状態をお父さんはちゃんとわかってたよ。
由宇が小さい頃はお母さんも働いてたらしくて、由宇はお祖母さんに育てられたんだって。
お祖母さん、すごくしつけに厳しかったみたいで。
男を立てて女は三歩下がって、って感じで育てられたらしい」
なるほどね。
男尊女卑があたりまえの時代もあったし、そういう考えが残っている地方なのかもしれない。
「そういう考え方自体は一概に悪いとは言えないけど、度が過ぎるんだよね。
男の子を産まなきゃ嫁として失格とかさ」
「うん」
「そういうことをお父さんと話したんだ」
私は頷いて、先を促した。


