しかし、また閉めた。


ん?


忘れ物でもした?


そう思っていると、振り向いた成哉が私を見た。


なに?


首をかしげると、成哉は微笑んだ。


「おやすみ」


私も微笑み返し、「おやすみ」を言おうとした。


が、そのとき、成哉の腕が伸びてきて、そっと肩をつかまれた。


え?


と、声を発する間もなく――


唇を奪われた。



驚いて目を見開いたまま、私は身動きできずにいた。


そっと触れてすぐに顔を離し、成哉は至近距離で私の目を見た。


そしてもう一度かすかに微笑むと、今度こそドアを開けて出て行った。