「遅くまでごめん」


気付けばもう12時を回っていた。


玄関で靴を履く成哉を見守りながら聞いた。


「電車、まだある?」


靴を履くと、姿勢を正して成哉は微笑んだ。


「駅前でタクシー拾って帰るよ」


「気をつけてね」


私は手を伸ばしてドアの鍵を開けた。


「香菜さんに聞いてもらってよかったよ。
ありがとう」


「ううん」


私は微笑んで首を振った。


成哉も微笑み返してくれた。


「じゃ」


「うん」


成哉はドアを開けた。