大人の女と男の関係

思った以上に複雑な事情を抱えていた成哉に同情した。


結婚した相手の家族がらみのいざこざは、簡単には済まない。


家族にはその家族の歴史がある。


結婚したとはいえ、夫と妻は、所詮、赤の他人同士。


一方、たとえ核家族であっても、それは一つのコミュニティ。


複数の人間が長い年月をかけて築いてきたそのコミュニティには独自の秩序がある。


そしてその中には、そこに属さない者にとっては、理解しがたいものもある。


私はそのことを身をもって知っていた。


まして、由宇さんの場合は、お母さんだけでなくお祖母さんもいるらしい。


家族の構成員が増えれば、複雑さは私の時以上だろうと思われた。


大変さが身にしみてわかる分、下手な慰めは言えなかった。