私は記憶の渦に飲み込まれそうになるのをかろうじて食い止め、目の前でうなだれる成哉に意識を集中した。
「由宇、日に日に自分の殻に閉じこもるようになって。
俺が何度、お母さん達の言うことなんて気にするなって言ってもだめで。
食事もろくにとらない、夜も眠れないみたいで。
でも、俺も仕事があるし、ずっとつきっきりになってるわけにもいかなくて。
実家に戻らせたんだ。
もう、そろそろ3ヶ月になる」
私は黙って話を聞き続けた。
「週末のたびに会いに行ってるんだけど、なかなか好転しなくて。
すごく辛そうなんだ。
実家にやったのはかえってよくなかったのかもとも思うんだけど、今さらどうにもならなくて。
本当は精神科に連れていった方がいいような状態なんだと思う。
でも、それを言ったら、お母さん達に総攻撃受けちゃって。
精神科にすごい偏見あるみたいでさ」
私は頷いた。
そういう人はいるだろうと思った。
「もう、毎週、3時間かけて由宇の実家に通うのも疲れてきて。
俺の方も、参ってきてる」
成哉はカップを両手で包み込んで、コーヒーをひと口飲んだ。
私は指先で眉間をもみほぐし、ため息をついた。
「由宇、日に日に自分の殻に閉じこもるようになって。
俺が何度、お母さん達の言うことなんて気にするなって言ってもだめで。
食事もろくにとらない、夜も眠れないみたいで。
でも、俺も仕事があるし、ずっとつきっきりになってるわけにもいかなくて。
実家に戻らせたんだ。
もう、そろそろ3ヶ月になる」
私は黙って話を聞き続けた。
「週末のたびに会いに行ってるんだけど、なかなか好転しなくて。
すごく辛そうなんだ。
実家にやったのはかえってよくなかったのかもとも思うんだけど、今さらどうにもならなくて。
本当は精神科に連れていった方がいいような状態なんだと思う。
でも、それを言ったら、お母さん達に総攻撃受けちゃって。
精神科にすごい偏見あるみたいでさ」
私は頷いた。
そういう人はいるだろうと思った。
「もう、毎週、3時間かけて由宇の実家に通うのも疲れてきて。
俺の方も、参ってきてる」
成哉はカップを両手で包み込んで、コーヒーをひと口飲んだ。
私は指先で眉間をもみほぐし、ため息をついた。


