「香菜さん、なんかいいことありました?」
金曜の昼休み、千佳ちゃんに突っ込まれた。
朝からそわそわしているのは自覚していたから仕方ないかもしれない。
「実はね、「マーヤ」の摩耶さんから連絡もらって、久しぶりに飲みに行く約束をしたの」
「えっ、それってもしかして、成哉君も一緒とか?」
千佳ちゃんが勢い込んで聞きいてきたので、私は苦笑いして首を振った。
「成哉は来ない、私だけ。
「マーヤ」、来月で店じまいするらしいの。
それで久しぶりに摩耶さんに会いに行こうと思って」
「えー、そうなんですか。
私、香菜さんの話聞いてから、「マーヤ」ってお店にすごく興味あるんですけど、私も行ったらだめですか?」
「ううん、構わないわ。
ただ、都心から少し離れてるし、千佳ちゃんの家とも反対方向だけど、大丈夫?」
「そんなのへーきです!」
ということで、急遽、その夜千佳ちゃんも一緒に「マーヤ」に行くことになった。


