*逢風*

ずっしりとした赤色の着物に腕を通した。

綺麗な着物で細かい模様が沢山ちりばめられていた。

現代で日舞のお披露目会の時に着ていた着方をしてみた。

帯を前向きに結い上げ垂らす帯を長めにとっていた。
着物は少し着崩して、現代のテレビで見た遊女の様な格好にした。


今回は、『遊女の悲恋』をイメージし舞う事にしていた。


花音は、舞う前に必ずと言っていい程に頭にイメージを浮かべていた。


(今回は、いままで以上に切なく…)

この時代に来てから。この時代の事が知りたくなった。


沖田さんもいるからだろうな…


だから、この時代に生きた遊女達の。私の知っている限りを舞で表現してみようと思った。

どこまで表現できるか…
本物の遊女に逢った事はないが、いつか逢ってみたいと思っていた。


強く生きた彼女達に…



(なりきってみせる。)