小走りで走り寄ってくる男を見て
花音も立ち上がりその男を見た


体はスラッとして身長が高く
顔は童顔で、まるで女の人のようだった。
茶色の髪を縛らずに流していた。


(お客さんだろうな…)


「すみませーん!」


私の前に着くと、人懐っこい笑顔で


「あのーこのお店の人ですよね?
そうでしたら私、部屋が分からなくなってしまって…
案内して欲しいんですけど―?」



「すみませんっ、店のものなんですけど
昨日来たばっかりで何もわからないんです―…」



「そうですかぁ―…
困ったなぁ~;
まぁた“土方さん”に怒られるなぁ…;」


「多分、もうすぐしたら分かる人が来るので


少し待って頂けたらいいと思いますよ?」



「本当ですか…?
助かったなぁ~なんせこの宿広いですからねぇ…」



「何もできませんでしたけど…。



ここに座りませんか?
中庭綺麗ですよ?!」