鳴海‐Narumi‐【短編】

気の抜けた俺の返事に苛立つように谷が言う。

「お前が自分でやってんのか?」

その言葉が現実の世界に俺を引き戻した。

まったく、意図しないものを見せられたせいで、混乱していて、ただ呆然としていた俺だったが、ようやく事態が飲み込めてきた。

「いや、全然。やるわけ無いですよ。こんな恥ずかしい事」

ため息をふっと向かい側から漏れる。ため息って音がするんだな、と俺は思う。