あ…またあの香り。
『ほら~綺麗でしょ。』
ジュンはあたしの目の前にアロマキャンドルをかざした。
『うん。綺麗。』
あたしはゆらゆらとゆれる小さな火にうつされたジュンの顔に目をうばわれた。
『違う違う。ほら,ちな綺麗だよ。』
そう言ってジュンはあたしの背中に手を回し,体制をもとにもどすのを手伝ってくれた。
『見て。』
指をさされた方向を見ると,アロマキャンドルを片手に指をさしているジュンと,その隣ですっぴんのあたしが鏡に映っていた。
『こんなにかわいいんだ。ちなは。』
ジュンはそっとキャンドルを洗面台に置いた。
そしてあたしのまゆのある場所を指先でつつつーっと触る。
その感覚がこそばゆくて,あたしは下唇をきゅっとかみしめた。
『まゆげもちょっとはえてる。』
そういってジュンはクスッと笑った。