『ちなは化粧落としてて。』


そう言うとジュンは部屋に戻ろうとした。


あたしも一緒についていこうとすると


『だめだってば。ここにいなさい。』


大きな体で行く手を遮られて,頭をポンポンとなでられた。



その行動にむっときたあたしは無意識に頬をふくらました。


『あたしはお子ちゃまじゃない…』



ジュンはさっさと部屋に戻っていった。





メイク落とすったってクレンジングとかないじゃん。



と思いながらあたりを見回すと,洗面台の隣に化粧品が並べてあった。




女の人の?


彼女いるのか?



あたしは首をかしげた。



でもよく考えてみると,ジュンはモデル。


うちに化粧品があったってなんらおかしいことはない。



そう思うと,心の中でほっとする自分がいた。