昨日あのあとジュンに言われたことは黙っとこ…




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『ちな…』




あたしが振り返ると,熱もだいぶ下がって顔に生気が戻ってきたジュンが,じっとこちらを見つめていた。


いつもみたいにロボットのような目ではなく,獲物を狙う狼のように鋭い目をしていた。



『な…に?』


あたしはジュンから手渡された空のコップを受け取りながら,そっとたずねた。


『明日,学校か?』


『そうだけど。どうかした?』


『別に…』


『そう…』



しばらくの沈黙。


あたしはちらっと時計を見た。

気づかない間に時計の針は午後7時をさしていた。


そろそろ帰らなきゃ。



『あのさ…』



あたしがそわそわしていると,ジュンが閉じていた口を開いた。


『もう遅いし,帰っていいよ。俺大丈夫だから。ありがとう。』



それだけ言ってジュンはベッドの布団を引っ張り直し,頭からガバッとかぶった。