そんな普段は人もまばらな図書館に向かって2人で歩いていると、遠くからこっちに走ってくる人が見えた。


うつむきながらこっちに近づいてくるその人は、見覚えのある人だった。


「奈々ちゃん…?」

ためらいがちにそう声をかけると、奈々ちゃんはうつむいたまま立ち止まった。