私は家族という響きに戸惑いながらも勇気を出して声を出した。
『初めまして。ご存知とは思いますが高槻彩華です。あの…1つだけ尋ねたいことがあるのですが…』
『私が答えられることならこたえましょう』
ふんわりと優しく微笑んでくれる馨さんに安心しつつ、ずっと気になっていたことを訊いてみた。
『何故私が馨さんの養女に?』
そう、それがどうしてもわからなかった。
私のいた孤児院には私よりも可愛い子もいたし頭の良い子だっていた。
それなのに特技も何もない私が選ばれた理由がわからなかった。
馨さんはちょっとだけ驚いた様子だったけど、すぐに元の表情に戻って
『貴女が良かったからです。いや、貴女じゃないといけないからかな』
と理解出来るような出来ないような答えをしてくれた。
私がキョトンとしているのがわかったみたいで
『そのうちわかりますよ』
と言ってくれた。

