スイッチを押して数秒後、運転席と私の間にあったカーテンがゆっくりと自動で開いた。
運転席の方を見ても広いなぁと思いつつ助手席を見ると、これまた美形で灰色のスーツを品良く着た男の人が座っていた。
その男の人は私の方を見ると
『初めましてお嬢さん。いや、我が娘と言った方がいいのかな?』
『我が娘って…じゃあ貴方が私を養女にした…』
『そう、私が今日から君の父親となる真奈瀬馨(マナセカオル)だ。突然のことで驚いたとは思うが今日から君は私の家族だ。』
家族…それは私が知らないもの。
ずっと縁がないものだとばかり思っていた憧れの存在。

