当たり前のことに改めて気づく
先生のことばかり考えて
そーゆーこと考えてなかった
「お父さん、お母さん」
向き合うと
子供の頃からのことが
走馬灯のように駆けめぐる
私が先生と出逢えたのも
お父さんとお母さんが
私を育ててくれたから
「今まで……」
「言うな!」
お父さんが急に叫び
「言うな、
お前は本当にふつつか者だ」
「ええっ」
「親に対する挨拶も知らない
お前はまだまだ子供だ」
「…………お父さん……」
「藤代くん1人に任せるんじゃ
………大変だろう………
だから、よ、嫁に行っても」
お父さんは涙を流して
「嫁に行っても
お父さんが
まだまだ面倒見てやる
だから、お世話になりました
なんて言うな!」
ポロポロポロポロ
涙をこぼして
お父さんは控え室を飛び出した
「あら、やだ。お父さん」
お母さんが
慌てて追いかけて行く
1人、取り残されて
お父さんの涙、初めて見た
チクリと胸が痛い
お父さん、ごめんね。
こんなに早くお嫁に行って
だけど、絶対
絶対、誰よりも幸せになる
先生と二人で幸せになるから
「……ごめんね、ありがとう」
綺麗にメイクしたから
泣きたくないのに
目の前が涙で歪んだ



