「―――――――………っ」
お父さんの言葉にならない
そんな息遣いが聞こえて
ガタッ
立ち上がる気配と物音
「お父さんっ!
どこ行くんですか?」
お母さんが驚いた声を出し
「パチンコだっ」
イラついた口調で
バタンッッ
リビングのドアを乱暴に閉め
お父さんは出て行った
「………パチンコねぇ」
お母さんがため息まじりに言い
「ごめんなさいね藤代さん
顔を上げてください」
身体を起こすと
ゆっくり顔を上げた先生と
目が合って
「……ご」
ごめんなさいと謝ろうと
口を開いた時
「許してもらえなくて当然
会ってもらえただけで
オレは嬉しい」
「先生…………」
見つめ合う私たちを
目を細めてお母さんが見て
「『命に替えても幸せにします』
藤代さん、そう言ったわね」
先生はお母さんに視線を移し
「はい。必ず」
お母さんに向けられた
先生の目には強い決意が宿って
素敵すぎてクラクラする
お母さんは「ダメよ」って
先生を上目遣いに見て
「『命に替えて』はダメよ
あなたがいなくなったら
絆は独りになるんだから」
…………お母さん
「自分を大切にしながら
絆を守ってくださいね。
この子のために、あなたは
長く生きなければ」
その年で長生きしてね
なんて言われても
先生、ビミョーじゃない?
だけど 先生は
「はい。ありがとうございます」
嬉しそうに目を伏せ
頭を下げた



