先生が来る日
朝から家の雰囲気は
ピーンと糸をはりつめたように
緊張感でいっぱいだった。
1人だけ
フンフン鼻歌を歌いながら
キッチンに立ち
「ねぇ、絆?
藤代さんはコーヒーとお紅茶
どちらが好きかしら?」
のんきに聞いてくるお母さん
私はリビングで何時間も
新聞を広げてるお父さんを
チラッと見てから
「ど、どっちでもいいよっ」
お母さんはクスクス笑って
「なに緊張してるのよ。
おもしろいわねー」
おもしろいっ?
誰が?どこがっ?
お父さん もう何時間
新聞読んでると思うのよっ
ま、まさか本当に
お父さん 先生を殴ったら……
想像すると
サ―――――――っと
血の気が引いて行く
私のわがままで決めた結婚
プロポーズだって
私がしたんだし
殴るなら私を殴って―――――
想像が妄想に変わり
リビングのお父さんに
私を殴れと
マジで言いそうになった時
「大丈夫よ、絆」
お母さんが
落ち着いた声で言った
「5割」
お母さんは手をパーにして
私に突き出した
5割?
「5割はお母さんがお父さんを
説得してあげます
親から祝福されない結婚は
それだけで大変な物になるから
お母さんは絆に甘いわね……
あとの5割くらい二人で
なんとかなさい」



