「お願い、先生。
私に それをちょうだい」
指輪を握りしめ
先生はしばらく困ってた
私は 先生が前に住んでた
マンションの部屋を
思い出してた
あの部屋で幸せな時を過ごした
若い先生と結
あの部屋で時を止めて
独りでいた先生
その指輪は全て知ってる
私は先生の全てを
引き受けたいし
指輪が
リレーのバトンにも思える
先生を愛し愛された結から
[奥さん]を引き継ぎたい
「…本当にこれが欲しいの?」
困った顔のまま先生が訊いた
「この指輪じゃないなら
私、結婚指輪しないから」
ため息ついて先生は肩を落とし
「わかりました。
じゃあ、これを」
そっと私の左手をとり
「絆さん。
僕と結婚してくださいますか?」
改まった口調がおかしくて
クスクス笑いながら
「はい」って答えた
指輪のサイズはぴったりで
嬉しくて左手を上にかざして
指輪を見つめると
「絆」
先生の手が私の頬に触れて
「好きだ」
ふっ…と
視界が暗くなったと
思った時には
柔らかい唇が重なって
深く唇を重ねたまま
抱きしめられると
甘く甘く身体中がしびれて
愛してる
すごくすごく愛してる
先生への想いが溢れた



