「ありがとうございましたー」
店員さんの明るい声を背中に
レストランを出ると
ふわっ と吹いた夜風が
(先生の意地悪のせいで)
火照った頬をくすぐる
スーツのポケットから出した
キーをチャリッと鳴らし
車へ向かう
広い背中を見つめると
…………キュウ。
胸がキュッと縮まる。
もっと一緒にいたいな
そんな乙女心を知らずに
先生は私を車に乗せ
車は真っ直ぐ私の家に向かって
夜の街を走り抜ける。
反対車線を走る車の
ヘッドライトが一瞬
先生の横顔を明るく照らす度
好きだって気持ちが
どうしようもなく溢れてくる
ひざに置かれた先生の左手に
そぉ~っと手を伸ばし握った。
先生は一瞬小さくビクッとなり
驚いたように目を見開いた。
信じられない。
自分から手を握っちゃったよ…
ドキドキドキドキ
全身が心臓になったみたいで
すごく痛くて苦しい
だけど、先生に触れていたい
スッ……と私の手から
先生が手を引いて
先生のひざの上に
私の手が取り残された
……やっぱり迷惑かぁ
そう思った時
先生は私と手のひらを重ねて
指を絡めてギュッて
握り直した。



