見ただけなのに。 なんだか涙が溢れてきた。 視界がぐちゃぐちゃになってって。 正直…2人を見なくて済むからいいや、なんて思ってみたり。 嫌だよ。 嫌だよ…。 そんなふうに祐也に触らないで。 そんなふうに笑いかけないで…っ。 嫌だよ…っ。 泣き崩れるあたし。 後ろから抱きしめる、誰かの腕。 そこにいたのは… 「…っ」 ―それは、祐也の腕じゃなかった。 祐也じゃ、なかったの…。