傘、貸しましょうか?【短編集】


そこには先客一名。

何処かわからない制服を着ている男の子。

多分私と同じかそれ以上の歳だと思う。

その人が持っている大きな鞄が気になったけど、      特に問題は無かったから無言で雨が止むのを待つ。

雨に濡れたらパパにばれるし。

早く止め!、と空に向かって祈っていると、

「…お腹すいた。」

男の人が初めて口を開いた。