「今日は、転校生を紹介する。」


噂にもあがらなかったのに、珍しい。


そう思いながら、担任が転校生を呼ぶ。


教室に入る転校生を見た瞬間女子は、テンションがあがっていた。


私は、呆然と彼を見るしかなかった。


「佐田くん、自己紹介。」


「佐田 戒です。
よろしくお願いします。」

佐田?


なんで?


瀬戸内じゃなかった?


「じゃあ、あそこに座って」


担任が空いてる席に指をさした。


まさかの私の隣。


私の席は、一番後ろで隣は空いていた。


戒は、私をちら見して座った。


「朱菜、久しぶり。
元気だった?」


彼は、何事もなかったように小声で話しかけた。


「別に、戒には関係ない。」


私も小声で返した。


「そっ。」


やっぱ、興味ないもんね。


当たり前だけど。


そこで、私と戒の会話は途切れた。


担任がいなくなるとすぐに女子が集まった。


自分をアピールしたくてたまらないみたいだ。


ウンザリする。


私は、席を立ち教室を出た。


戒は、そんな私を横目で見てたのを知らずに。