「やっと、見つけた。」


ある男が呟いた。


「えっ?
どうかしたの?」


一緒にいた女が不思議そうに聞いた。


「今、弟がいた。」


男の視線は、修に向いていた。


「弟?
だって....」


女は、戸惑っていた。


そして、男が見ている視線の方に目を向けた。


「幸せそうで、ムカつく。
全てを壊してやりたい。」

男は、修を憎んでいるようだ。


「ダメだよ。
家族なんでしょ?」


「あぁ。
けど、俺だけが施設に預けられた。
ずっと、待ってたのに迎えに来なかった。」


「けど、よく見ただけでわかったね。」


女は、不思議だったみたいだ。


そりゃ、そうだろう。


何年も会ってない家族がわかったんだから。


「記憶と写真の中の父さんにそっくりだったから。」


「ふ〜ん。
じゃあ、確かめよう。
それから、考えようよ。」

女は、復讐だけはさせたくなかった。


けど、このまま行けば、男が復讐するのは見え見えで。


とりあえず、知りたかった経緯を。