いつでも逃げられる

「…っあ…あぁぁぁ…ああぁああぁっ…!」

彼の顔を見る。

直後、私は崩れるようにその場にへたり込んだ。

…全ての辻褄が合った。

私の事を何でも知っていた理由も、私になかなか触れようとしなかった理由も。

「あぁぁあ…」

震えが止まらない。

戦慄の涙が溢れ出す。

私は…私は…!

『彼』と肌を重ねてしまったのだ。

取り返しのつかない禁断を破ってしまった。

血が繋がっていないとはいえ、こんな…こんな…!

…その場に蹲る私に、彼はニヤリと笑みを浮かべた。