こんな異常な状況に置かれていながら、何もされないというのはある種の恐怖だ。

私は一体何の為にここにいるのか。

人間としての尊厳を奪われ、愛玩動物さながらの生活を続ける毎日。

彼にとって私は『女』ではないのかもしれない。

そう思うと、何故か焦燥に駆られる。

女としてのプライド?

自分の存在価値?

そんなものが揺らぐような気がする。

…だがその一方で、そんな感情を必死で否定する自分もいる。

相手は犯罪者だ。

どこの誰とも知れない男だ。

そんな男に、私は触れられたいというのか。

訳の分からない葛藤で苦悩する。

…いや、わからない訳ではない。

認めたくないだけなのだ。