こうやって誉めちぎって私の気をよくさせて、少しでも警戒心を解こうとしているのは読めている。

見え見えなのだ。

何て底の浅い男!

反吐が出そうになり、最初は「うるさい!」と一蹴してやっていたものだ。

だけど…誉められて嫌な女の子はいない。

それがお世辞だとしても、警戒心を解く為だとしても。

数日が過ぎ、時間が有り余るせいで退屈している事もあり、私は彼の言葉に多少耳を傾けるようになっていた。

「ストーカーだって、また罵られるかもしれないけど」

男は苦笑しながら切り出す。

「加奈子ちゃん、僕とここで過ごす前はもう少し髪長かったよね。僕がここに連れてくる前日くらいに切ったの?」