いつでも逃げられる

体を拭いた後、男は朝食の準備に取り掛かった。

昨夜と同じように買い込んできた食料での朝食。

相変わらず少しずつ私の口に食べ物を運び、私が咀嚼し、飲み込むのを待ってから再び口に運ぶ。

手間のかかる作業だ。

こんな事をしてまで、この男はどうして私を監禁したいのかわからない。

食事も、睡眠も、暑い最中での水分補給も、全て私が最優先。

私をこんな廃屋に監禁している分、この男も、冷房すらないこんな暑い場所で寝食を共にしなければならなかった。