『うるさい。お前だって、今、片思いの相手がいるの知ってる。その相手も勿論知ってるぜ?』
〝だから、なんだ?〟
秘書の女性は目を細めて、睨みながら言う。
『警戒するな、応援してる。』
フッと微笑む。
お前の片思いの相手は、社長。つまり、俺のオヤジ。叶う叶わないが問題じゃねぇよ、おばさん。おばさん、美人なんだから自信もてよ。
俺は心からそう思った。
〝で、相談は何だ?〟
愉快そうな微笑みで言う。
『なんでもない。また、近いうちに。』
片手をあげ、サヨナラの合図をする。何となく、今の俺とおばさんは似てるような気がした。


