私には沙耶さんの背中しか見えない。 

前を向いているのに、私を庇うように沙耶さんの背中で覆われている。 

『別れる?アホか。お前の恋を叶えるつもりはない。出ていけ。可哀想かもしれないが、人の婚約者に手を出すな。』

漣まで怖い。トーンが低い。 
…………婚約者っ!恥ずかしい//勿論聞いてますが………。

「今日は…………、いやまた出直すわ。じゃあね、莉緒ちゃん。」
沙耶さんは、〝くるり〟と周り後ろにいた私と、向かい合わせになって顔を近付けてきた。 


私は誰かに手を引かれ、暖かい腕の中にいる。