「・・・中学時代ですか・・・・そうですね・・・・あの頃の私は、本ばかり読んでましたね・・・。」



執事は、暗闇に浮かぶ満月を見上げながら話し始めた。



「あっ、そうそう、あの頃の龍一は、クラスでは、目立たない・・・・いや、目立ってはいたけど、特に目立つ行動をするような奴じゃなかったよな。」



組長も思い出したように話し始めた。



「その点、大和は荒れてましたよね、中学時代は?」



執事が、月から組長へと視線を移す。



「・・・・まぁ~・・・あの頃はな・・・・若気の至りというか・・・ほら、俺の事、周りの奴らが、やくざの組長の愛人の子として見るからさ・・・やっぱ・・・グレてたよな。」



組長は、恥ずかしそうに下を向きながら頭をかく。



「それを言うなら、私も行動にださないだけでグレていましたよ。・・・施設の子供ということで、周りからどこか違った目で見られていましたから。」



「・・・そう言えば、そうだったな。」



組長と執事が、懐かしそうに見つめ合う。