「なんだ、ひとつだけか。まぁ~それでもいいけど。」
組長は、犬をアパートの鉄の棒に結んでおいて、そのまま窓から室内に入る。
(・・・あっ!)
私は、思わず、私自身が一つ願いを聞くということを認めてしまったことに気がついた。
「・・・よし。小夜本人の許しも得たし、勝負するか!」
真木ヒナタが、してやったり顔で微笑む。
「あ、あの・・・念のため、私に何をさせるのか、聞いておいてもいいですか?」
「俺は、小夜にひと勝負させるかな。この前は、どっかの暴走族の総長だったから、今回は・・・どっかの組の組長にするかな。」
サディスティックな微笑みの真木ヒナタ。
「安心してください、小夜さん。私が、勝てば今まで通りなだけですから。」
優しく微笑む執事。
「頑張ってください、龍一さん。」
私は、執事の両手を掴んで懇願する。
「俺はだな・・・・やっぱりあれかな。」
不気味に笑う組長。


