「龍一さん・・・・すいませんでした。」



私は、バスタオルは受け取らずに、すぐに執事に謝罪する。



「・・・・小夜さん、しょうがないですよ。」



今にも泣き出しそうな私に優しい声をかける執事。



「・・・・・りゅ、龍一さん」



私は、執事の優しさに思わず涙がこぼれそうになるのを我慢する。



「・・・・それに、レナさんが勝っても問題はありませんしね。」



隣でバスタオルで顔を拭いている葵に聞こえないような声で私にささやく執事。



「・・・・・そうですね。」



よく考えれば、私が勝とうが、レナが勝とうが、葵が勝たない限り、笹山組に問題はなかった。



執事の言葉でその考えに至り、少し安心した表情で執事を見る私。



これで、葵と静代が、笹山組から納得して帰ってくれれば、みんな元通りになればいいだけ。



レナも別に本当に組長と結婚する必要はない。