やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】



「・・・龍一、思い切ったことしたな・・・」



飛び出していくポチを見ながら、真木ヒナタがつぶやく。



「何がですか?明らかに着た形跡がメイド服に見られたから、破っただけです。私の目の黒いうちは、うちの組から変態犯罪者を出すわけにはいきませんので。」



一同、執事の言葉でポチのメイド姿を想像し、苦悶の表情を浮かべる。



「別に女装が悪いわけではありませんが、意味のない女装を私は認めません。それに・・・・あんな、自分の身につけたものを私の小夜さんに着せようとした罪は、あれくらいでは許されません。」



不愉快そうな表情の執事。



「・・・ところでさ、龍一。さっきから気になってたんだけど。」



「何ですか?ヒナタさん。」



「龍一、さっきから私の小夜さんって単語使ってるけどさ、あれ、違うからな!・・・小夜は、俺の小夜だからな!!」



真木ヒナタが、執事を指差しながら、大胆にも宣言する。